2008年06月28日

蝙蝠少年

先週は、子ども達を巡る不思議な出来事がいっぱいあった。

まずは、5年生の男の子が午後突然やってきて言った。

「なんだ〜、誰もいないじゃん」

でも、誰もいないのがなんだか嬉しそうである。
彼は最初見たとき、ちょっと乱暴そうなイメージがあった。
というのはつるんでるのが、授業抜けしてフラフラしてる子達
だったからである。
(まあ、その子達も乱暴ってわけではないけれど)
でも最初の印象とは違って、彼は案外真面目だった。
本の森探検(読書マラソン)にもしっかり参加し、
感想用紙に、『みにくいシュレック』の似顔絵を描いてくるようなオチャメな男の子だった。

「ちょっと調べたいんだけど。生き物のこと」

と言いながら、片手でTシャツの上からみぞおちの辺りをそっと押さえている。
「なんか、いるの?そこ」と尋ねると、
ニコニコ嬉しそうに笑いながら、(というか、いつも笑っているように
見える)
「ダメ!バレたらやばいから。先生に見つかったら絶対、ダメです!
って言われる・・・絶対言わない?」
「言わないよ。大体誰に言うの?」

彼がそっとTシャツをめくると、茶色い毛の小さな生き物がランニングにしっかりとしがみついていた。
パッと見、野ネズミのようだが、カラカサみたいな羽根が爬虫類っぽい。
コウモリだ。
「コイツ、何食べるのかな?」

書棚を探すと、こんな本があったので一緒に見た。

ふしぎいっぱい コウモリ (AMAZING WORLDS)
Jerry Young 徳永 優子
4892384534


でも、著者が外国の人だからか、この本に載っているのは、
主に外国に生息している大型コウモリが殆ど。
彼のお腹にしがみついているのは、小型コウモリの方だろう。
目がモグラのように小さい、というか殆どない。

動物図鑑で調べると、小型コウモリの食べ物は虫、主に蛾と書いてあった。

「蛾?蛾食べるの?こんな子どもに蛾なんかやっていいのかな?」
彼はひどくとまどって、何度も「蛾かあ」と呟いた。
どうやら、蛾が怖いらしいのだ。意外にも。

「小さな蛾でいいんじゃない?」

と話している内に、チャイムが鳴った。

「マズイ、行かなきゃ。帰りの会が始まっちゃうよ」
と、Tシャツを下ろした。

「その子潰さないように気をつけるんだよ。
皆にみつからないように祈ってるよ」

「知ってる奴もいるんだ。一緒に体育館の掃除やってた奴ら。
体育館で見つけたから」

そう言って、相変わらず嬉しそうな顔をして出て行った。

どうするのかな?
飼いたそうにしていたけど、蝙蝠って飼育可能なんだろうか?
おうちの人が許してくれるとも思えないけど。
彼の様子を見ていると、動物を飼いなれているようには見えない。
飼ったことはないけど、飼いたいと思っている。
蝙蝠をお腹に抱えている顔がすごく幸福そうだったから。
いや、でもいつも微笑みを浮かべているような、そういう顔なのか。





posted by Helenaヘレナ at 18:40| Comment(4) | TrackBack(0) | 図書室 本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やはり図書室にいるのは、資格がたくさんある、一見賢そうなだけの司書ではなく『心ある人』なんですねえ。
なんだか少しずつ、今までいろいろあった子供たちまで学校のオアシスに足が向くようになってきた様子が目に浮かびます。良い悪いではなく、受け入れてくれる人がいる場所なんだと、安心していかれるのでしょうね。型にはまった教師ではなく、本を貸し借りする仕事の本にだけ詳しい司書でもない。そういう人がいる図書室が学校にあるとないとでは違うことが、お偉いさんや教育の現場に理解してもらえたらいいのに。
私が諦めたことを、続けているのねえ〜素晴らしいことだわ。
私はやり遂げられないことばかりたくさんあって情けないけれど、あなたを応援することだけは続けていきます!
Posted by ミーシャ at 2008年06月29日 21:45
ミーシャさま、ありがとうございます!
嬉しくて、涙が出そうです。
本当言うと、ウツ状態で学校行くのがツライのですが、なんとか子ども達だけ見てやっていこうかな、と思うようにしました。
後の部分は心を閉じて・・・・。
続ければ続けるだけ、子ども達に心が残って去りにくくなる、おまけに去るときは、子どもの前で挨拶しなければならないので、またツライ。
一回足を踏み込むと、なかなかぬけにくい世界
ですね。
私ですらこんなんだから、ミーシャさまはかなり
大変だったと思います。

また遊びに伺いたいです。
夏は実家へ行くので、またその後にでも・・・。
Posted by Helenaヘレナ at 2008年06月30日 10:00
去るときにウソはいえない・・私はそう思いました。だから最後の挨拶は頑なに拒みました。それで避難も浴びたことは事実です。事実をいえないのではなくウソがつけない・・そんな自分に誇りをもって拒否しました。平然と避難した人は、ウソが平気でつける人だったと思います。
ウツ状態??
そんなにひどい??!!
いつでもお寄りください。
まとまな人間を駄目にする場所です。ひどい教育現場だと大きな声で私は言うことができます。
無理することはありません。
人生はどうにかなるもの。
仲間は増やしたくはないけれど、見切りをつけて捨て去ると違うものが見えてくることもあります。負けて去るのではなく、是非とも見切りをつけて。
大企業の仕事だって、どんなに優遇されていても所詮いなくなってもどうにでもなる職です。
あと半年の命と言われても、その職を続けますか?死ぬまで遣り通したいような職場かしら?
違うと思う・・・限りある命です、無駄にすり減らさないで・・
Posted by ミーシャ at 2008年07月01日 21:52
ミーシャさま、ありがとう!!!
建前や表面だけの付き合いではなく、本音を打ち明けられる信頼できる友人を得ることができたのが、この仕事に就いた最大の報酬だったと思います。

もう少し割り切ることができたら、もう少しラクなんだけどなあ、と思いつつ、そうできないのが自分なんだなあ、とも思います。

最近ようやく子ども達とお愛想ではなく本気で話ができるようになった気がします。
今まで様々な職業に就いてきましたが、
しっくりいかない職場は自然と終わっているので、一年経ったら自然と結果が出るのかもしれません。

ありがとう。
しんどい時は、ミーシャさまのお庭を思い浮かべます。また美しい命に囲まれたお宅へ伺いたいと思います。
Posted by Helenaヘレナ at 2008年07月02日 22:01
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