2008年07月26日

一学期

実は、一学期はすでに18日で終わっていた。

重い心を抱えて蝸牛のようにスタートしたが、
最後はバッファローの大群に追い立てられるように慌しかった。

でも何をやったか、と考えると、昨年度からの引継ぎ業務である
「読書マラソン」改め「本の森たんけん」。
新規図書の購入を200冊足らず。
前任校で恒例だったブックトークは、6年生に2回やっただけ。
子どもの名前は三分の一も覚えられたかどうか。
すでに、名前と顔がバラバラになりつつある。

二学期は、図書室の引越しがある。
大きな声では言えないが、今の場所では、耐震的にアブナイらしい。

終業式が終わり、子ども達もいっせい下校して
図書室で茫然自失していると、
「ヘレナせんせい、せんせい」と呼ぶ声がする。
まだ下校していない子がいたのかしら?とキョロキョロ見回すと、
北側の細い窓にセーラー服が見えた。
この3月前任校を卒業した女の子二人だった。
彼女達が入学した中学校は、この学校の道を挟んだ向かい側。
4月にも、一度三人の仲良しグループで遊びに来てくれた。
母校でもないよその学校に来るのは気が引けたのか、
この学校の卒業生であるお友だちを案内人に立てて来てくれた。

でも、今度は二人きりで裏山を登って潜入してきたという。
嬉しくて思わず二人の手を握り締めた。
嫁に行った娘がダンナと姑に内緒でこっそり帰ってきたみたい(?)
「誰かにみつからないか、ひやひやした!」
喉が渇いたというので、水筒のお茶をあげた。
三人で北側のベランダに出て、下を見下ろす。
校舎は傾斜地に建っており、図書室のある西側は持ち出しになっているため、一階だが高さがある。ほとんど宙吊り状態。
「わあ、ここ怖いねー」シズちゃんが呟いたので思わず、
「今度、図書室引っ越すんだ」と言ってしまった。
「忍び込みやすい場所にしてくださいね。また遊びに来るから」
ナミエちゃんが明るく言ってくれた。
うん、外から見てもわかるように、旗を立てておくよ。

二人はまた裏山を降りて帰っていった。
セーラースカートで、重いカバンを提げて薮をかきわけながらそろりそろりと降りてゆく。
「気をつけるんだよー。転がらないように!」と大声で言うと、
「また、来ますー」と手を振ってくれた。

菜の子先生はどこへ行く? (福音館創作童話シリーズ) (福音館創作童話シリーズ)
富安 陽子
4834023516


昨日久しぶりに出勤したら発注していた「菜の子先生シリーズ」の最新版が届いていた。
いつも菜の子先生の活躍が爽快なシリーズだが、
四話目の『十二人めのクラスメイト』は、読むとしみじみ切なくなった。

山の中腹にある児童数八十三人の小さな小学校は、もう随分前から、
変わるはずのないクラスの人数がひとりぶん増えてまたもとに戻るという不思議な現象が起きている。
そしてそれはいつも卒業式の近づく6年生のクラスと決まっていた。

小学校には、桜の古木が子ども達を見守るように枝を広げている。
そういえば、前任校にも大きな松の木があった。
図書室から見えるその松は、実は無闇に枝を剪定できないいわくつきの樹なのだが、私は学校の守り神のように思って、毎日眺めていた。

『十二人めのクラスメイト』で私が切なく思ったのは、
子ども達に「あの子」と呼ばれているもう一人のクラスメイトの子が呟いた言葉。

「だって、ぼく、ほんとうに、あの子たちの友だちみたいな、幼なじみみたいな気がしてたんだもん。毎日毎日学校で、あの子たちに会ってたんだもん。これからもずっと、いつまでもいつまでも、あの子たちといっしょにいられる気がしてたんだもん」(本文引用)

私もそう思っていた。

菜の子先生は本当に面白い。

「私は、いつだって学校のどこかにいます」(本文引用)

と力強く言ってくれる菜の子先生と、この学校にいる内にぜひ会いたい、と思う。





posted by Helenaヘレナ at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書室 本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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