2006年02月10日

大人の方のための・・絵本の時間

図書室だより「ひこうせん」では、『大人の方のための・・絵本の時間』
というコーナーがある。
読んでくれるのが、子どもよりむしろ保護者に多いということで、
保護者向けのコーナーを設けたのだ。
子どもに読み聞かせをしたことで絵本の魅力に目覚めた保護者は
けっこういるのではないだろうか。かくいう私もその一人。
『大人のための・・』だから大人向けの絵本というわけではない。
図書室にある本なので基本的に子どもが読む本だ。
小学生の子どもを持つ親に向けて、という視点で取り上げている。

今月は、『モノ』にこだわって本を選んだ。
先日友人が言った言葉がきっかけだった。
夜中、強い風の音で目を覚ました彼女は、家が自分達を守ってくれている、
という温かな気持ちを抱いた。
この話を聞いたとき、私は片山令子 作 片山健 絵の「いえ」(ビリケン出版)を思い浮かべた。

いえjpg.JPG

ただの「いえ」なんて変わった題名だ。そっけないというか、即物的というか。
表紙の絵もユーモラス。ふてくされたようにドアを足であけている野ウサギ。
野うさぎは自分の家がキライ。ドアは開け閉めがスムーズでないし、中は暗くて寒い。
でも、それは家をいたわってあげていなかったからなのだ。
読みながら、自分の家のことを言われている気がして、思わず苦笑してしまった。
この話女性ならでは、という感じがする。
忙しいと掃除もついついおざなりになってしまうもの。
お話のラスト、夜、ベッドで雨音を聞きながら野ウサギは、こう言う。
「ありがとう。こんなに雨がふっているのに、わたしはぜんぜんぬれないわ」(本文より)
“家”というのは所詮“モノ”なのだが、長く住んでいると、
まるで自分達の分身のように、また、物言わぬ大きな優しい生き物のように思えてくる。

もう一冊は、私の大好きな本をとりあげた。これも“モノ”

かあさんのいす.JPG

「かあさんのいす」(ベラ B.ウイリアムズ作 あかね書房)
主人公の女の子はかあさんとおばあちゃんの三人暮らし。
かあさんはウエイトレスなのだが、家にはソファがなく、かあさんは疲れた足を
休ませることができない。
ソファを買うために、みんなで大きなビンにお金を貯めることにした。
ソファは『すごくふわふわで すごく大きい』(本文より)
そして『バラのもようがついたビロードが、かぶっていなくてはいけません』(本文より)
挿絵を見ると、本当に素敵で、まさに“夢のソファ”という感じ。
またびんにお金が貯まっていく絵は、見ていてわくわくする。
最近はお給料も銀行に振り込まれるし、カードで買物をする機会も増えて、
お金は見えない記号のようになっている。
でも、この本を読んでいると、びんいっぱいに入った硬貨の重みこそ、
お金本来の価値を表しているように思える。
この家族にとって、ソファはただの家具ではなく、夢と愛情の象徴であり、
お金はそれに繋がる大切な糧なのだ。
お金とはもともと、こんな風に使われるべきものだったのではないだろうか?

人と人の関係を描いている本が圧倒的に多い中、
この2冊の絵本、人と「モノ」の関係を描いている数少ない本という感じがする。
他にもないかな?モノ関係の素敵な本。


posted by Helenaヘレナ at 12:21| Comment(6) | TrackBack(0) | 図書室 本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは♪
『かあさんのいす』、記事を拝見しているととても素敵なお話のようですね。今度図書館でチェックしてみよう!と思いました。
お金の価値って難しいですよね。今は何でもあって、どうしても欲しい〜と長いこと考えつつ買えないからお金を貯めて……ということを子どもたちはしないな、って感じたりします。自分でもちょっとがんばれば買えちゃうって思ったり。
人とモノとの関係という絵本、バーニンガムの『旅するベット』が浮かびました。
Posted by kmy at 2006年02月10日 14:28
そうなんですよね。あまりに簡単にいろんなものが手に入るので、愛着が持てないというか。本などでたったひとつの人形を大事にしている女の子が出てきますが、ウチの娘などぬいぐるみでもおもちゃでも売るほどあって。親にももちろん責任がありますが・・・。
「旅するベット」そうですね!
kmyさま、ありがとうございました!!
Posted by Helenaヘレナ at 2006年02月10日 14:42
こんにちは。図書便りの中に大人向けのおすすめなんて、ステキですね。私も「お家の方へ」というコーナーを作ってはいるのですが、いつも「本をどうぞ。」ばっかりになってしまっています。反省。
 ところで、モノ関係の絵本ですが、私のお気に入りは『どうぞのいす』です。うさぎが作ったかわいいイスと、「どうぞのいす」という看板が、思わぬほうに転がって…。
 もう一つ、浮かんだのが『ハリネズミと金貨』です。ロシアのお話で、モノというか、人間の優しさというか、でも、まあいいかな。
Posted by aya@ara at 2006年02月10日 16:49
ayaさんも、保護者向けのメッセージを作っていらっしゃるんですね。小学生って親の影響が大きいから、働きかけるのは大切なことですよね。
親が本好きで読み聞かせなどしてくれていると、
子どももよく読むようだし、家族で同じシリーズを回し読みしていたり。(こうなると返ってくるのが遅くなるけど仕方ない)
「どうぞのいす」は知っていますが、
「ハリネズミと金貨」は初めて知りました。
金貨だからお金ですね。興味あります。
探してみたいと思います。
ありがとう!!
Posted by Helenaヘレナ at 2006年02月10日 17:02
「ハリネズミと金貨」は寄贈本の中にあった絵本なのですが、心温まる絵本で私も好きです。クリスマスの頃に掲示しました。
Posted by 紫陽花 at 2006年02月12日 21:19
ayaさんと紫陽花さんのおすすめなら、きっといい絵本なのでしょうね。「ハリネズミと金貨」図書館で探してみます!!
Posted by Helenaヘレナ at 2006年02月14日 10:24
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