2006年06月29日

むかつく時は・・・

ロングの休み時間が終わるぎりぎりに
1年生の“彼”がやってきた。
4月に校庭の桜の花をプレゼントしてくれた愛しの“彼”だ。
(その後、さやか先生に熱心に路傍の花を贈っていたという
ウワサを耳にしたが、気にしないことにしよう)
毎日熱心に図書室に足を運んでは、高学年向けの分厚い本を
借りていってくれる。

いつも元気がいいのだが、今日は見るからに様子が変だった。
現われた時から、本の入ったてさげを振り回し、
「むかつく、むかつく」とつぶやいている。

書架をウロウロしながら、
「むかつく、じごく、じごく・・・」とつぶやく彼。
へっ?地獄??
「先生、じごく、ないですか?」
ああ、これかな?と思い
じごくのそうべえ」を差し出した。

もう一冊、本を選びながら、
「せんせい、むかつくって〇〇先生に言わないで」と言う。
大人のことがよくわかっている子だ。
この子にこう口止めされなければ、職員室に行って担任の先生に聞いていただろう。
「〇〇くん、なんかあったんですか?」とかなんとか。

「うん、言わないよ。ねえ、これ読んでごらん」
と、「3びきのかわいいオオカミ」をすすめた。
「悪いブタなんだよ。ほら、オオカミさんの家を壊したり、
爆発させたりするの」
「3びきのブタ?」
「ううん、3びきのオオカミ。面白いよ。借りてみる?」
いつになく素直に頷く彼。

誰にでも、むかつく時はある。子どもでも大人でも同じだ。
そういう時は、悪いことかもしれないけど、
こういう徹底したワルがやりたい放題する話を読むと、逆にスカッとしたりするものだ。
おまけに、この本では、最後に悪者がやっつけられたりしない。
では、どうなるかというと・・・・・。

ノートに本の名前を書きながら
「むかつくって〇〇先生に言わないでね」と念を押す。
とっくに休み時間は終わっている。
「言わないよ。だって、何のことかわからないんだもん」
「むかつくの」「おこられたの?」
ついはみだしがちな彼なので、お灸をすえられたのかと思った。
「むかつく、べんきょうばかりさせるの。僕に」
「そりゃあ、先生だって遊ばせてあげたいだろうけど・・・。
みんなもしてるんでしょ。勉強」
「うん、でも、僕だけいつも遅れるから・・」

学校は、能率的に義務教育を教え込む場所だから仕方ない。
一人の先生が集団に指導すれば、どうしたってついてこられなくて
はみ出す子はでてくる。それが、たとえ20人に満たないクラスでも。

授業時間にも食い込んでいて心配だったので、
1年生の教室のある階まで送った。
保健室前に「歯の標語コンクール」に出した作品が張り出されていた。
“彼”の作品をみると、オレンジの短冊にしっかりした字で
しごくまともなことが書かれていた。
文章は大人が考えたに違いないけど、字は上手だ。

「字が上手いねえ、〇〇くんは。すごいじゃない。
先生よりうまいよ」そう誉めると、嬉しそうに微笑んだ。

気を取り直してくれたのか「バイバイ」と
にっこり手を振り去っていく彼。

あのね、「3びきのかわいいオオカミ」の最後はね、
乱暴なワルぶたも幸せな気分になるんだよ。
posted by Helenaヘレナ at 11:29| Comment(4) | TrackBack(0) | 図書室 本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「3びきのかわいいおおかみ」、読みたかったのですが機会をはずしていました。図書館に行くたびにヘレン・オクセンバリーで探したのが悪かったみたいです。文章は別のかたですよね(図書館での絵本の分類は文がメインなのでしょうか?)
徹底的に悪いことをした話をよむとすかっとするというのはわかるような気がします。昔話なんかに通じますよね。中途半端だと、すっきりしないような気がして……。こちらのお話はどうなるのでしょう? 楽しみにしながら図書館に行くことにします。作者のメモとらなくては。
Posted by kmy at 2006年06月29日 19:23
私のところでは今日、2時間目に4年の女の子が先生に連れられてやってきました。教室でもめごとがあり、落ち着いて授業ができない様子なのでこの時間図書館にいさせてほしいと。
先生が教室に戻った途端、いつもは気の強い彼女が、さめざめと泣き始めました。立ったままなので「座ったら?」とだけ声をかけると素直に座り、しばらくして読書しました。休み時間になって、友達が迎えに来た時にはもう落ち着いており、3時間目は教室に戻りました。小さな図書館でも毎日ドラマがありますよね。
Posted by nora-taka at 2006年06月29日 22:37
kmyさん、「3びきのかわいいおおかみ」はいいです。文章も、絵もいい。この方々のほかの本も読んでみたいです。
絵本の分類は、メインが文ですね。
図書館によっては、タイトルで並んでいるところもあるようですが。利用者としては、同じ作家の本がかたまっておいてある方がいいかな。
一時「オオカミさん」にこって、オオカミの本ばかり買っていた時期がありましたが、その中でも秀逸です。
Posted by Helenaヘレナ at 2006年06月30日 11:10
nora-takaさん、本当にそうですね。
子どもがたくさんいれば、もめごとがおこるのは
当然ですが、そんな時、私は何もしてあげられなくても、子ども達が安心していられるような場所にしたいな、と思います。
Posted by Helenaヘレナ at 2006年06月30日 11:14
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