2007年02月21日

小さな世界

毎日図書室に通っては、絵を書いていく男の子がいる。
丸めがね、なぜかマスクを着用していることが多く、毛糸の帽子が異様に似合う。
ちょっと見、のびた君に似ていなくもない。

いつも一人でやってきては、廃紙利用のメモ用紙の裏に紙
黙って書き書きしては、「はい」と私にプレゼントしてくれる。
たまに私が席を外している時は、机の上かカウンターの中に
その日の作品が放り込んである。
休みの日は一日ゲームをして過すという、典型的なオタクの
子だ。
いつも一人で来るが、特に淋しそうでもなければ、
卑屈でもなく、ゴーイングマイウエイ!マイペース!
の姿勢には見習いたいものがある。

彼からプレゼントされた絵はもう何十枚にもなるのだが、
捨てる訳にもいかず、図書郵便の時作った配達バックに
突っ込んである。

最初は棒人間がテポドンに吹き飛ばされる絵や、
武器で殺傷されたたくさんの棒人間が血をドバーっと
噴出している絵ばかりだった。
しかし、最近は、私のリクエストに応えてくれているのか、
恐竜やらピラミッドやらスフィンクスやら、サンタさんやら、
ガイコツやら、リーゼント不良やら、果ては漢字でできた世界といったものまで、幅が広がった。

彼の絵の特徴、それは、とにかく小さいことである。
3ミリの棒人間とか、5ミリ四方の鳥とか。
巨大なことがその売りとされている恐竜でさえ、
せいぜい3センチあるかないか。
コメントやセリフが書かれているものも多いのだが、
その字ももちろん小さくて、私などは紙に顔を思い切り
近づけないと、何が書いてあるのか読めない。

もう一つの特徴は、その絵が非常に精巧に書かれている、ということである。
上手な子の絵というのは「線」が違うが、彼はまさにそう。
先の尖ったエンピツで描かれた線は、迷ったりふらついたりすることなく、正確で美しい形に完結する。
また、描かれた絵には、まさに彼独自の世界観が現われていて、
これは、フジコフジオとか、赤塚フジオとかそういう
類まれな才能かもしれない・・・と最近思えてきた。

月に一回発行している「飛行船ギャラリー」に時折
作品を出してくれる。

Ejpg.JPG

この時は、怪談レストランのカラス天狗を書いてくれた。
珍しくオリジナルキャラではないが、
彼のオリジナリティは、ここでも発揮されている。
カラス天狗の背後にある看板には、力こぶのある腕が
出ており「ムチ」と、これまた印刷の汚れにしか見えない
小さな字がある。
そして看板には「かいだん係」。
なるほど、整頓係や、配り係などより、「怪談係」の
方がよほど、やり甲斐がありそうだ。
思わず「かいだん係大賞」という賞をつけたのだが、
彼に後日聞いたところでは、「かいだん系」の間違いだと
いうことだった。
彼が今後も、この小さな世界を守ってくれることを、そしていつか才能が大きく花開いてくれることを願う。







posted by Helenaヘレナ at 10:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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