2005年09月13日

図書室の書棚から“友達をクローゼットに閉じこめておきたい貴方へ”

リナと小さなドラゴン.jpg

“友達をクローゼットに閉じ込めておきたい貴方”ーとは私のことです。
そして、実際に友達を閉じ込めてしまった女の子のお話が
「リナとちいさなドラゴン」(ヒルデガルト・ミュラー作 BL出版)です。

リナはきっと友達のいないひとりぼっちの女の子だったのでしょう。
そこへ、小さなドラゴンがやってきました。
ドラゴンはリナの部屋のクローゼットの引き出しに住むことになり、
ふたりは友達になります。

一緒におにごっこをしたり、お話をしたり。
リナにとってドラゴンはかけがえのない存在になりました。
リナのためにドラゴンは、ハート型のみごとな炎をふいてくれたのだから。
それも「五日のあいだ、まいにちかならず」(本文引用)

でもある日、ドラゴンは、ドラゴンの国に帰りたくなった。
ホームシックというやつ。
「リナ、ぼくおうちにかえる」「だけど、すぐに また あそびにくるよ」
そう言ったドラゴンに、
「だめ!あんたは ここに いるの!」
リナはドラゴンをひきだしにおしこみ、ぴしゃりととじこめた。

この絵本、シンプルな絵と短い文章で、“友達関係”の本質をズバリと突いた
とても優れた作品だと思うのです。

私はリナのような、強情でひとりぼっちの女の子でした。
小学生の頃、転校してきた女の子を独り占めしたくて、
他の子と遊ばないで、と腕をつかんだまま放さなかった、記憶があります。
今考えると、イヤな子ですね。
でも、大好きな友達とはずっと一緒にいたいもの。
他の子とは遊んで欲しくない。私だけが彼女の友達でいたい。
そう思ったことありませんか?
そういう経験がない人は、人との距離のとり方が上手なのだと思います。

今、学校で子供達を見ていると、
みんなとても、うまく距離をとっているように見える。
子どもって、もっと執着心が強いと思っていたけれど、
実際のところは、サラっとしています。
ストーカーになる大人はいるけど、子どもはいない。
成長過程にあるからでしょうか、
スゴイけんかをしていたくせに、翌日には何食わぬ顔で、
手をつないで歩いていたり。
仲良しグループもめまぐるしく変わっていきます。
大人が思うより、子どもの心はずっとやわらかくて自由。
何事にもとらわれない柔軟さがうらやましく思えるほど。

そう思っていた矢先、図書室に落ちていた書きかけの手紙
「さいきん なんか冷たくないですか?○○ちゃんと・・・」
ドキっとしました。宛名も差出人もなく、どうしたらいいのか
わからないまま、自分のバックに押し込んだ。
バックがとても重く感じられました。

ひきだしにドラゴンをおしこめたリナは、
毎日ドラゴンの絵を描き続けた。五日の間ずっと。
「リナはせつなかった」(本文引用)
そしてリナはドラゴンをおうちに帰してあげる決心をするのです。

リナはどうして、ドラゴンを帰してあげる気持ちになったのでしょう?
幸せそうな友達の顔が見たかったから?

そして、成人したヘレナさんは、
どうにか、友達も恋人もクローゼットに閉じ込めることなく(コワイですね)
生きています。
それは、たぶんリナとは違う理由から。
常に形を変える雲のように、確かなものなどない、と
歳の功でわかったからかもしれません。
それとも、本当に心が通じ合った瞬間こそが大切なのだと、
ようやくわかったのでしょうか?

やっぱり子どもより大人の方が性質が悪いのです。



posted by Helenaヘレナ at 09:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 図書室 本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
小学高学年から中学生の女の子達を見ていると、まるで大人の付き合い方のようです。用途別に友人をうまく使い分けている。表面上は誰とでもそつなく付き合いながら、実は誰にも心を許していない

都会の子供達だからでしょうか。驚く事が沢山あります。
Posted by ポラン at 2005年09月14日 08:28
ポランさま、コメントありがとうございます。
その年頃の女の子達は傷つくのがこわいのかもしれません。
本当は心ひらける友人を求めているのだけれど、自分の感情をストレートに出すことが、恥ずかしいことだと思っているのかもしれない。
でも、若くて、自分の行く先にはまだ無限の可能性があると信じている頃は(それを意識しているかどうかは別として)まだ強くいられるのかもしれませんね。若い頃の人との付き合い方は、その後の人生にも大きく影響する気がするのですが・・・。
Posted by Helenaヘレナ at 2005年09月14日 09:12
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