2007年12月05日

美の殿堂 フィラデルフィア美術館展

東京都美術館で開催している“フィラデルフィア美術館展
へ行って来た。
学校をお休みすることに、良心の呵責がなかったわけではないが
私達司書は、文化の伝道師なのだから、こういった展覧会を見て
自分を磨くべきなのだ!と、聞かれてもいないのに、
家族に弁解しつつ出かけた。
(さすがに、校長先生には言えなかった)

東京に住んでいた頃はよく美術館へ行ったものだ。
特に平日の、しん、と静かな美術館を一人ぶらぶらするのが好きだった。
物言わぬ美しい絵画や彫刻に囲まれていると、
外のわずらわしい現実世界がどんどん遠のいていく。
そう、私は美術館に引きこもるのが好きだったのだ。


しかし、今回、平日の午前中という時間帯だったにも関わらず、
来館者がとても多いのに驚いた。
人の列に押されながら絵画の前に行き、ちょっと観る角度を変えたいと思ったら、
人の身体にぶつからないように注意しなければならない。
昔のようにもっとゆったり観たかったが、私一人の美術館ではないから仕方ない。
よく見ると、すでに仕事をリタイアされた方々が多そうだった。
子ども独立して、自分達のために時間を使えるようになったので
友だちや夫婦で展覧会めぐりをしている、という感じである。
私も、それぐらいの年齢になれば、もっともっと来れるんだわ!
でも、東京に住んでいないから交通費が大変だし、
今日みたいに日帰りは疲れるから宿泊ということになれば、ホテル代もかかる。
その時のためにも、やっぱり働かなくっちゃ!としみじみ思ってしまった。

久しぶりに東京の美術館へ行ってもう一つ驚いたのが、
ミュージアムショップの品揃えが充実していることだった。
以前は、ポストカードとかポスターとかしおりぐらいだったが、
チョコレートや切手、印象派の色が再現できるペンといったアイデア商品まで並んでいる。

一緒に行く?と誘ったら
「人がいっぱいいる東京の、それも美術館なんてイヤダ!
・・・でもお土産は欲しい」
と言っていた切手コレクターの娘に、マティスの作品とクリスマスの切手を買った。

kittete.jpg

そうそう、肝心の展覧会の内容だが、マネ、モネ、ドガ、ルノワール、ロダンにゴッホ、
ピカソもあるよ、と実に贅沢だった。
個人的には、ピサロやユトリロ、クレーがよかった。
でも、どちらかというと好きなアーティストの作品を何点も見たいという、私のようなタイプには、もっとアーティストを絞り込んだ展覧会の方がいいのかもしれない。
大好きなアンドリューワイエスも一点のみ、でちょっと寂しかった。
でも、少ない有休をとってきているんだから、そんな贅沢言っちゃいけないわ!
といっても、やっぱり今度も平日に来たい!


posted by Helenaヘレナ at 00:00| Comment(10) | TrackBack(0) | 美術展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月24日

ハーモ美術館でみつけた“アンドレ・ボーシャン”と“グランマ・モーゼズ”

一昨日、諏訪湖畔にあるハーモ美術館に行ってきた。
実を言うと、ヘレナさんは、本を読むより絵が好き。司書よりむしろ学芸員になりたかったのだ。
この美術館は、今から5年前に初めて訪れた。
5年前来たときは、2月だった。
曇り空で寒々としていたが、どっちを向いても山、というところに住んでいるせいか、
水辺の景観が新鮮だった。

今回は、秋晴れ。真っ青な空をそのまま映したような湖面に、
透明な秋の日差しが反射し、実に美しい。富士山もくっきり見える。
湖畔では諏訪湖マラソンが開催されていた。

この美術館は、アンリ・ルソーによって開花した素朴派の絵画を常設展示している。
初めて訪れた時、面白い画家を見つけた。
一昨日は、その画家の絵がもう1度見たくて来たのだ。

アンドレ・ボーシャン
作家紹介のパネルには「庭師」とある。
素朴派の画家達は画家以外にも職業を持っていた人がほとんどだったようで、
例えばアンリ・ルソーは税関吏である。他に郵便配達夫という人もいる。

絵 野の花jpg.JPG

アンドレ・ボーシャンは、庭師の仕事に誇りを持っていたのだろう。彼の描くものは殆どが
花や木であり、その画面からは、彼の植物に対する並々ならぬ愛情が感じられる。
しかし、そこからは、包み込むような温かさよりも、むしろ他の者が割り込むことのできない
頑固な思い込みが感じられる。
その理由のひとつに構図が挙げられる。彼の構図には決まったパターンがあって、
画面の中央に花がアップで描かれ、その背後に空と風景が描かれている。

花と家絵.jpg

これは「花と家」という絵だが、大きな花瓶が野原にデーンと直接置かれている。
すごい絵だ。私はシュールリアリズムの絵画が好きだが、この絵は、マグリットやダリの絵の持つ驚きとは明らかに違う。シュールリアリズムの絵も幻想的で驚きに満ちているけれど、その背後には画家の思想的な裏づけというか根拠がある気がして、驚きつつも納得してしまう。
でも、アンドレ・ボーシャンの絵は「好きだから」という根拠がすべてなのだ。
この絵は彼の人生を端的にあらわしているように思える。
彼の人生の真ん中には、植物がこの絵の花瓶の花のように君臨しているのだ。
きっと幸せな人生だったのだろうな。好きなものと生涯を共にするシンプルな幸福。
羨ましい!

さて、このままだと本に結びつかないので困るなあ、と思っていたら、ありました。
実は5年前は気がつかなくて、今回発見したこと。

グランマ・モーゼズjpg.JPG

これは、グランマ・モーゼズという人の絵。
この人は農婦で、五人の子どもを育てあげたお母さん。
絵を始めたのがなんと75歳で、101歳まで描き続けたという。
この経歴を見て、「あれ?どこかで読んだことがあるぞ」

エマおばあちゃんjpg.JPG

「エマおばあちゃん」(ウェンディ・ケッセルマン 文 バーバラ・クーニー 絵 徳間書店)という絵本をご存知でしょうか?
72歳の誕生日に、子ども達、孫達、ひ孫達から、生まれ故郷の絵をプレゼントされたのだけど、どうにもその絵が気に食わないエマおばあちゃんは、自分で絵を描くことにしたのです。最初は子ども達にもナイショだったんだけど、その内ばれてしまい、みんなその絵のあまりの素晴らしさにびっくり!いつしか個展を開くまでになったのです。
ね?似てるでしょ?バーバラ・クーニーが描くエマおばあちゃんの絵も、なんとなくグランマ・モーゼズに似ているような・・?これは、もしやグランマ・モーゼズをモデルにしたのでは?と思ったけど、本にはそんなことはまるで書かれていない。

まあ、それはともかく、75歳から絵を描き始めたなんて、素敵だ!
「歳なんて関係ないんだよ」と励まされているようで、勇気の出る一枚、一冊なのだ。
posted by Helenaヘレナ at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月21日

片山健絵本原画展

片山健チラシ

長野にある八ヶ岳小さな絵本美術館で、「片山健絵本原画展」をやっているというので行ってみた。

白樺の林の中に建っている小さな美術館だが、内容は充実している。
春には「すきですゴリラ」のアンソニー・ブラウンの原画展をやっていた。

美術館

片山健さんは、いいなあ、とは思っていたけれど、実際に図書室に置いてあるのは「タンゲくん」と奥様の片山令子さんが文章を書いた「のうさぎのおはなしえほん」シリーズくらい。

でも、今回の原画展は良かった!なんだか改めてファンになっちゃいました。
片山健さんの絵って、本で見ても骨太で迫力があるんだけど、本物は更にすごかった。
油絵の具が盛り上がってゴツゴツしてる。
「絵にさわらないでください」と注意書きがあるのもわかる気がする。
触ってみたいなーという欲望を抑えるのに苦労しました。

絵本ではあまり興味なかったけれど、今回いいなあと思ったのは、
「どんどん どんどん」「もりのてがみ」

「どんどん どんどん」は、ついつい笑ってしまった。
小さい男の子ってなるほど、こうなんだろうなあ。
実際、幼い息子さんを見て浮かんだアイデアだった、と
「別冊太陽」に書いてあった。
最後のページの文章がおもしろい。
「どこへいくかって?それはもうどんどんどんどん いくだけさ」

「もりのてがみ」は娘さんをモデルにしたものらしい。
寒い冬、外へ遊びにいけない時、女の子はともだちに手紙を書く。
りすやとかげや小鳥たちに。
その手紙の中の絵が、本当に子どもが描いた絵のようで。
娘さんの絵を使ったのかな?と思ったけど、
娘さんの絵を参考に片山健さんが描いたのだということ。
子どもの描く絵を、大人が描くのは難しそうだ。
下手な大人の絵とは、微妙に腺とかタッチが違う気がする。

他に「きつねにょうぼう」も良かった。
昔話なんだけど、絵がいいと読ませてしまうんだな。

さあ、買いたい本がたくさんみつかった。
明日学校へ行ったら発注しなくちゃ。

充実した気持ちで外へ出ると、ひんやり冷たい風が木立を吹き透っていく。
黄色い葉がはらはら落ちてきた。
信濃路は一足早く秋です。

posted by Helenaヘレナ at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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